すずめの住む街。

「あなたの街にすずめはいますか?」

走りたい気分

咲「ねえゲームしよ」 和華「めずらし」 咲「やりたい気分」 夜ご飯を食べ終わり、最近世間で流行っているらしいゲームをしてみたくなった。 和華「咲下手くそ」 咲「逆に和華は何でそんなに上手いの」 和華「会社の先輩に教えてもらったことある」 咲「へえ…

月を食べる日

いつも通りの帰り道。 電車に乗って、駅を降りて。 いつもの駅前、冬が近づきライトアップ。 そんな街に、人が集まっている。 人は皆、空を見上げてカメラを構えているんだ。 咲「和華!」 和華「何?お迎え?」 咲「おかえり」 和華「ただいま」 咲「ほら見…

追いかけっこ

1歩進む。1歩進む。2歩進む。2歩進む。大きく1歩進む。大きく1歩進む。振り返る。微笑む。前を向いて1歩。安心して1歩。同じ道を行く。ただ、同じ道を行く。開拓して。未知への1歩。信頼して。未来への1歩。振り返れば君がいて、目の前には君がいて。今日も…

ルーチンフリーダム

咲「朝起きて、ご飯食べて。昼ごはん食べて、夜ご飯食べて。お風呂入って、寝る。」和華「たまにお昼ご飯食べるの忘れて、3時くらいに食べる。」咲「家帰ってきてすぐ夜ご飯。」和華「4時間くらい空くと普通に食べれちゃう。」咲「お腹空いてたらいいんだよ…

相性

亜織「色んな人がいますよ。ショートの方が似合うから、とか。肩についてる方が好きだから、とか。」咲「毛先が傷んでる、とか?」亜織「そうです。でも、この間切りに来た人も暑くて耐えられなくて、って言ってましたよ。」咲「短いと楽ですもんね。」亜織…

言葉の食べ方

和華「タフってなんだろう。」咲「タフ?」和華「タフだよね、って言われた。」咲「強いこと?」和華「僕ってタフ?」咲「タフかなあ。和華って強いの?」和華「強いと思う?」咲「何に対して?」和華「なんだろうね?」咲「難しいね。」和華「心が強いこと…

あたたかさの輪

和華「うちの人もね。」果久「え!待って!」和華「なんですか?」果久「一人暮らしのイメージだった!」和華「それが違うんですよ。」果久「へー!いいね!」和華「それは置いておいて。」果久「あ、そうだった、何?」和華「大体笑顔なんですよ。」果久「…

まだ青い

咲「枝豆。」和華「止まらない。」咲「夏は枝豆。」和華「ね。」咲「片手にはビール。」和華「最高だね。」咲「乾杯って。」和華「お茶だね。」咲「ずっとお茶。」和華「乾杯。」咲「お茶も美味しい。」和華「いつもこの味。」咲「お酒飲んで酔っ払ってって…

要領のいい人

咲「なんとなくでいいんだよ。」桃「なんとなくでいいの?」咲「いいの。」桃「うーん。それってどう?」咲「どう?」桃「なんとなくじゃいけないときない?正しい情報を知りたい時とか間違っちゃいけない時とか」咲「うーん。」桃「なんとなくじゃだめだよ…

移ろい

咲「季節が変わった。」和華「暑いよ、外。」咲「ついこの間まで長袖だったのに。」和華「半袖の人多い。暑いもん。」咲「何も状況は変わってないのに。」和華「季節だけが変わる。」咲「今日も空は綺麗なのに。」和華「天気良いね。」咲「うん。」和華「洗…

今日は勝ち越し

和華「もう最近すごいよ。」咲「なにが?」和華「感情ふっとんで楽しくなってきた。」咲「なにが?」和華「問い合わせのほとんどが問い合わせな訳。クレームとかじゃなくて。」咲「優しいお客さんに恵まれてる。」和華「で、ほとんどみんな同じ内容な訳。人…

箱の中の箱

咲「ゆったりしている?」真有「そう。」咲「何が?」真有「口調?雰囲気?オーラ?なんだろ。」咲「なに?」真有「何にもとらわれていない感じ。」咲「囚われる?」真有「自由というか。軽いというか。掴めないというか。」咲「貶されてるの?」真有「羨ま…

いつもの

丈「浮世離れしてる。」和華「そう思われても仕方ないですね。」丈「もっとまともな生活したら?そんなことしてないで。」和華「僕は結構まともですよ。今日もこうして何とか働いてます。」丈「働いてることじゃなくて。僕が言ってるのは家のこと。お前の休…

愚痴の権利

和華「散歩してくる。」在宅勤務が増えて、少し退屈になった昼。和華は散歩をすると言って家を出た。ついでに買い物もしてくるらしい。咲「いってらっしゃい。」普段の買い物と散歩と何が違うのだろうと思ったが、何かが違うんだろうなと答えを出し、僕はい…

スペシャル

和華「おはよー、、?」咲がいない。テーブルには紙。【和華おはよう。】この時代に手紙?「今日の晩ご飯は僕のスペシャルメニューです。そのための買い物をしてきます。ちゃんと朝ごはん食べてね。いつもありがとう。行ってきます。咲」テレビでよく見るや…

不安の明暗

和華「来月の今何してると思う?」咲「どうして?」和華「なんとなく。」咲「うーん。こうやってテレビでも見てるんじゃない?」和華「昼のバラエティ番組。」咲「お茶の間に笑いを届けてくれる。」和華「楽しい時間だね。」咲「みんな笑ってる。」和華「ま…

つながること

休日。天気は曇り。世間では、毎日毎日1つの話題で持ちきり。そろそろ飽きてきたなあ、と思ってしまう昼下がり。和華「どうしたの?」咲「どうもしてない。」和華「疲れてるね。」咲「疲れてない。」和華「疲れてるように見えるね。」咲「疲れているように…

みんなの優しさ

今年もお盆の季節がきた。お墓まいり。日差しが、あつい。坊「熱中症対策で飴をお配りしております。」咲「ありがとうございます。」冷たい水と、花を添えて。「今年も皆が笑顔で平和に過ごせますように。」誰かではない、この世界で、みんなが穏やかに過ご…

隣の普通

代乃「今2人暮らししてるんでしょ?」和華「そうだね。」代乃「咲って人なんなの?和華にとってどういう存在なの?」和華「どういうってねえ...。まあ共同生活者、かな。またの名を生活補完者。」代乃「...生活補完?」和華「生きにくい社会を生きていくため…

先生

羽舞「久しぶりだね。」咲「お久しぶりです。」羽舞「最近はどう?」咲「楽しく過ごしていますよ。」羽舞「見てたら分かるよ。」咲「本当ですか?」羽舞「和華も楽しそうだから。」咲「和華が楽しそうだと僕も楽しそうに見えますか?」羽舞「うん。」咲「ふ…

驕りと誇り

和華「会社でさ、」咲「会社。」和華「うん。上司がさ、」咲「うん。」和華「自分中心な指示をたくさん出すわけ。あれはドラマとかでよくある何かあった時に部下に責任を押し付けるやつだよ。」咲「ドラマの見過ぎじゃない?」和華「社会って理不尽なことが…

選んだ列

咲「ソフトクリーム欲しい!」和華「お、いいね。」咲「あのお店有名なお店だよね。」和華「あそこで買おうか。」咲「うん。」和華「すごい行列。」咲「ソフトクリーム、人気なんだね。」和華「ね。」咲「あっ。」和華「ソフトクリームの列じゃないね。」咲…

あおいろ

和華「自然がすごい。」咲「自然。」和華「こんな景色初めて見た。」咲「夏を控えた自然。」和華「爽やかってまさにこのことだよね。」咲「暑すぎず。寒すぎず。いい天気。」和華「高い建物がないだけで気分が開放的になるね。」咲「全然関係ないのにね。」…

ほめ言葉

茉莉「咲さんって面白いですね。」咲「そうなの?」茉莉「そういうところが面白いですよ。」咲「...そうなの?」茉莉「純粋無垢、でも、何を考えているか分からない。掴めない感じかと思ったら、急にはっきりものを言う。不思議で面白い。」咲「......そうな…

あしたのおむかえ

和華「早くない?」咲「何が?」和華「準備。」咲「だって来週だよ?」和華「あと6日あるって。」咲「でもできる準備はあるし。」和華「洋服とかパンツとかまだ入れられないのに?」咲「あそこ行くにはこういう予定にしなきゃなあ、とか。家をあけるから冷蔵…

純白な笑顔

いつでも微笑んでくれる人。どんな時でも包み込んでくれる人。優しくて、あたたかくて。僕は大好きだった。それだけは強く覚えている。思い出すのは、いつでも笑顔で。楽しそうに笑う君。真っ直ぐな君の言葉と表情が大好きだったよ。【お誕生日おめでとう!…

道草のタネ

咲「世の中には幸せなニュースだったり嬉しいニュースだったり、温かなニュースがたくさんあるのに、どうしてこんな暗い話や誰かが傷つく話題しか扱わないんだろう。」和華「そっちの方が視聴率取れるんじゃない?」咲「視聴率がとれれば幸せって人、数えた…

判断の偏食

和華「今日は久々にカレーでも作るか。」商店街を歩きながら、今日の晩御飯を何にするか考えていた。咲「カレー好きだよ。」和華「本当?」咲「なんで?」和華「なんか意外だった。」咲「あ、そう。」和華「カレー嫌いな人って変な人多いじゃん、だから嫌い…

照らす人

明里「すいません、この辺にブレスレット落ちてなかったですか...?」買い物を終え、大きな袋を抱えたその人は、他のお客さんやレジの店員さんに訊いて回っていた。「いや、ちょっと分からないですね。」咲「どうしたんですか?」明里「さっきまでつけていた…

空から見た壁

咲「今日ね、色々な人が色々な想いをぶつけ合う劇を観てきた。」和華「雑な説明。」咲「上手く表現できないの。」和華「それで?」咲「難しいよね。自分と、自分以外の人のことを考えるのって。」咲「天は将来何になりたいの?」天「聞いてどうするのさ。」…