すずめの住む街。

「あなたの街にすずめはいますか?」

箱の中の箱


咲「ゆったりしている?」


真有「そう。」


咲「何が?」


真有「口調?雰囲気?オーラ?なんだろ。」


咲「なに?」


真有「何にもとらわれていない感じ。」


咲「囚われる?」


真有「自由というか。軽いというか。掴めないというか。」


咲「貶されてるの?」


真有「羨ましいの。」


咲「ふーん。」


真有「意識していることとかあるの?」


咲「ないよ。」


真有「ないの?」


咲「ないよ。」


真有「そっかあ。」


咲「真有は何かに囚われてるね。」


真有「咲よりは自由に過ごしていないし軽やかでもないからなあ。」


咲「囚われてるね。」


真有「とらわれてるの?」


咲「そう見える。」


真有「何がダメなんだろう。」


咲「ダメとは言ってない。」


真有「世間のスピードとは違うスピードで咲みたいに自分らしくゆったり生活したいんだよね。」


咲「世間のスピードと違うの?」


真有「違うよ。咲みたいな人あまりいないよ。」


咲「そうなの?」


真有「だから羨ましいの。」


咲「そうなの?」


真有「囚われてるね。」


咲「うん。」




和華「咲みたいな人。」


咲「どんな人?」


和華「知らない。」


咲「知らないの?」


和華「僕にとって咲は唯一無二の存在だから。」


咲「ここにしかいないもんね。」


和華「だいたい興味ないでしょ。」


咲「うん。」


和華「咲はこんな人だよって言っても仕方ない。」


咲「世間のスピードってはやいの?」


和華「知らない。めまぐるしいってやつ?」


咲「世間のスピードなんて気にしたことなかった。」


和華「最近のワイドショー。咲は面白くないでしょ。」


咲「うん。」


和華「あれが世間のスピード。」


咲「あれが世間のスピード。」


和華「はやい?はやくはないか。」


咲「はやくはないけどおそくもないね。」


和華「気にする必要ないね。」


咲「僕には関係ない。」


和華「関係ないところで生きていたいね。」


咲「僕ってゆったりしてるの?」


和華「知らない。」


咲「じゃあ今日はゆったりしよ。」


和華「いいよ。」