すずめの住む街。

「あなたの街にすずめはいますか?」

2019-01-01から1年間の記事一覧

みんなの優しさ

今年もお盆の季節がきた。お墓まいり。日差しが、あつい。坊「熱中症対策で飴をお配りしております。」咲「ありがとうございます。」冷たい水と、花を添えて。「今年も皆が笑顔で平和に過ごせますように。」誰かではない、この世界で、みんなが穏やかに過ご…

隣の普通

代乃「今2人暮らししてるんでしょ?」和華「そうだね。」代乃「咲って人なんなの?和華にとってどういう存在なの?」和華「どういうってねえ...。まあ共同生活者、かな。またの名を生活補完者。」代乃「...生活補完?」和華「生きにくい社会を生きていくため…

先生

羽舞「久しぶりだね。」咲「お久しぶりです。」羽舞「最近はどう?」咲「楽しく過ごしていますよ。」羽舞「見てたら分かるよ。」咲「本当ですか?」羽舞「和華も楽しそうだから。」咲「和華が楽しそうだと僕も楽しそうに見えますか?」羽舞「うん。」咲「ふ…

驕りと誇り

和華「会社でさ、」咲「会社。」和華「うん。上司がさ、」咲「うん。」和華「自分中心な指示をたくさん出すわけ。あれはドラマとかでよくある何かあった時に部下に責任を押し付けるやつだよ。」咲「ドラマの見過ぎじゃない?」和華「社会って理不尽なことが…

選んだ列

咲「ソフトクリーム欲しい!」和華「お、いいね。」咲「あのお店有名なお店だよね。」和華「あそこで買おうか。」咲「うん。」和華「すごい行列。」咲「ソフトクリーム、人気なんだね。」和華「ね。」咲「あっ。」和華「ソフトクリームの列じゃないね。」咲…

あおいろ

和華「自然がすごい。」咲「自然。」和華「こんな景色初めて見た。」咲「夏を控えた自然。」和華「爽やかってまさにこのことだよね。」咲「暑すぎず。寒すぎず。いい天気。」和華「高い建物がないだけで気分が開放的になるね。」咲「全然関係ないのにね。」…

ほめ言葉

茉莉「咲さんって面白いですね。」咲「そうなの?」茉莉「そういうところが面白いですよ。」咲「...そうなの?」茉莉「純粋無垢、でも、何を考えているか分からない。掴めない感じかと思ったら、急にはっきりものを言う。不思議で面白い。」咲「......そうな…

あしたのおむかえ

和華「早くない?」咲「何が?」和華「準備。」咲「だって来週だよ?」和華「あと6日あるって。」咲「でもできる準備はあるし。」和華「洋服とかパンツとかまだ入れられないのに?」咲「あそこ行くにはこういう予定にしなきゃなあ、とか。家をあけるから冷蔵…

純白な笑顔

いつでも微笑んでくれる人。どんな時でも包み込んでくれる人。優しくて、あたたかくて。僕は大好きだった。それだけは強く覚えている。思い出すのは、いつでも笑顔で。楽しそうに笑う君。真っ直ぐな君の言葉と表情が大好きだったよ。【お誕生日おめでとう!…

道草のタネ

咲「世の中には幸せなニュースだったり嬉しいニュースだったり、温かなニュースがたくさんあるのに、どうしてこんな暗い話や誰かが傷つく話題しか扱わないんだろう。」和華「そっちの方が視聴率取れるんじゃない?」咲「視聴率がとれれば幸せって人、数えた…

判断の偏食

和華「今日は久々にカレーでも作るか。」商店街を歩きながら、今日の晩御飯を何にするか考えていた。咲「カレー好きだよ。」和華「本当?」咲「なんで?」和華「なんか意外だった。」咲「あ、そう。」和華「カレー嫌いな人って変な人多いじゃん、だから嫌い…

照らす人

明里「すいません、この辺にブレスレット落ちてなかったですか...?」買い物を終え、大きな袋を抱えたその人は、他のお客さんやレジの店員さんに訊いて回っていた。「いや、ちょっと分からないですね。」咲「どうしたんですか?」明里「さっきまでつけていた…

空から見た壁

咲「今日ね、色々な人が色々な想いをぶつけ合う劇を観てきた。」和華「雑な説明。」咲「上手く表現できないの。」和華「それで?」咲「難しいよね。自分と、自分以外の人のことを考えるのって。」咲「天は将来何になりたいの?」天「聞いてどうするのさ。」…

ため息

【仕事終わった。今から帰るね。】和華「うわ、雨降ってる...」昼間は晴れていて気持ちが良かったのに、夜になりひどく降る雨。仕事で疲れているせいか、無駄に気分が落ち込む。今日は忙しかったな。隣には同じビルの数階上のレストランで食事を楽しんだ団体…

風通しのいい喫茶店

奈弥「じゃあそろそろ帰ろうか。」咲「そうだね。」日曜の昼下がり。喫茶店でお茶をした。咲「あ、鍵忘れた。」奈弥「家の?」咲「うん。」奈弥「家帰れないね。」咲「帰れないね。」奈弥「どっか行く?」咲「んー、とりあえずこのまま。」奈弥「じゃあちょ…

待ち人の言い訳

和華「遅いね。」咲「遅いね。」和華「待ち合わせ19時って言ってたよね?」咲「言ってた。」和華「今何時だと思ってるの?」咲「19時15分だね。」和華「なんの連絡もないわけ?おかしくない?」咲「おかしくないよ。」和華「連絡してくれたっていいのに。」…

好奇心の向こう

椿「この扉の向こうには何があるの?」咲「何があるでしょうか?」椿「えー。何があるかなあ。」咲「あけてみる?」椿「うん!」椿は笑顔いっぱいにその扉をあけた。椿「わー広いお部屋!」椿「あっ、ここにも扉がある!」今年小学校に入った少女はとても楽…

Prologue

咲「ほら、見て。」和華「何?」咲「動いてる。」和華「何が?」咲「動いてるよ。」和華「何言ってるの?」咲「…なんでもない。」和華「たまにやるよねそれ。」咲「何を?」和華「それ。」咲「それ...」和華「そ、れ。」咲「...」和華「買い物行ってくるね。…