すずめの住む街。

「あなたの街にすずめはいますか?」

隣の普通



代乃「今2人暮らししてるんでしょ?」


和華「そうだね。」


代乃「咲って人なんなの?和華にとってどういう存在なの?」


和華「どういうってねえ...。まあ共同生活者、かな。またの名を生活補完者。」


代乃「...生活補完?」


和華「生きにくい社会を生きていくためにお互いの存在が必要、ということかな。」


代乃「分からないなあ。」


和華「咲は僕に足りないものを持ってる。」


代乃「和華には何か足りないことでもあるの?」


和華「たくさん。」


代乃「僕から見れば普通だけどな。」


和華「普通って?」


代乃「普通は普通よ。1人でも普通に生きていけそう。」


和華「まあ頑張れば生きていけるだろうね。」


代乃「頑張らないで生きていくのは甘えだよ。」


和華「それはあなたの普通。僕の普通とは違う。」


代乃「そうかなあ。和華も普通の生活しなよ。」


和華「してるよ。」


代乃「咲みたいなよく分からない人と2人暮らしって、それは普通ではないよ。」


和華「咲はすごい人だよ。」


代乃「それは聞いてないよ。」








咲「人にとっての普通か普通でないかの線引きは他人がとやかく言うものではないもんね。」


和華「普通の生活。」


咲「普通すぎて怖いくらい。」


和華「なにそれ。」


咲「和華がそんな受け答えするなんて見てみたいな。」


和華「なんでよ。」


咲「普通じゃないから。」


和華「ひどい話だ。」


咲「補完者っていいね。しっくりきた。」


和華「咲はなんて言ってた?」


咲「聞かれることもないから考えたことなかった。」


和華「じゃあ代乃みたいな人に会ったらなんて答える?」


咲「普通の存在。」


和華「ずるいね。」


咲「うーん...。」





咲「命の恩人、かな。」


和華「大げさだね。」


咲「そう?」


和華「僕にとっては大げさ。」


咲「和華にとってはね。」