すずめの住む街。

「あなたの街にすずめはいますか?」

相性



亜織「色んな人がいますよ。ショートの方が似合うから、とか。肩についてる方が好きだから、とか。」


咲「毛先が傷んでる、とか?」


亜織「そうです。でも、この間切りに来た人も暑くて耐えられなくて、って言ってましたよ。」


咲「短いと楽ですもんね。」


亜織「咲さんは特にどうしたいとかないんですか?」


咲「ないですね。伸びては切って、伸びては切って。暑かったら切るし、寒かったら伸ばしてしまう。」


亜織「染めたことはないんですか?」


咲「ありますよ。茶髪。」


亜織「そうなんですね。想像できないです。」


咲「意外?」


亜織「なんで染めたんですか?」


咲「興味。」


亜織「茶髪に興味あったんですか?」


咲「茶髪じゃなくてもよかったけど、単純に黒じゃない自分の髪を見てみたかった。」


亜織「茶髪だった理由は?」


咲「和華にやめてって言われた。」


亜織「目立っちゃうから。」


咲「そう。」


亜織「その感じだと1回だけですかね。」


咲「髪の毛は伸びるものだし。どうせ切っちゃうし。」


亜織「どうだったんですか?茶髪の自分。」


咲「うーん。別に何も。自分じゃ鏡見るときくらいしか気付かないし。」


亜織「その鏡見るときを聞いてるんですよ。」


咲「茶色だーって。明るく見えました。大事なんだなあと思って。見た目。」


亜織「そりゃ大事でしょうよ、見た目。」


咲「僕が生きる世界ではあまり僕の容姿は関係ないから。そこじゃないから。」


亜織「だから髪切る理由は暑い、と。」


咲「はい。」


亜織「分かりやすくていいと思いますよ。」


咲「あと邪魔になったら切る。」


亜織「あ、そういえば。髪質が合ってるんですよ。」


咲「髪質?」


亜織「咲さんのその性格に、髪質が合ってるんです。」


咲「めんどくさがり?」


亜織「ほったらかしでも気にならないもしくは気にしなくても済む髪質というか。めんどくさくても何か月に1回は切ってないとやってられない方もいらっしゃいます。どうしても似合わないというか。」


咲「伸ばすと四方八方に広がっちゃうとか?」


亜織「そうです。それがどうしようもなくて、めんどくさいけど切らないとやっていけない、みたいな。」


咲「へえ。」


亜織「咲さんの髪はまとまりやすくて癖っ毛だから。少なくとも僕は羨ましいです。」


咲「へえ。この髪質ありがたいのか。」


亜織「そうです。」


咲「面白いですね。」


亜織「そうですか?」


咲「気づきは大体人から与えられるものです。」


亜織「新たな発見をして、か。」


咲「また半年後くらいに来ますね。」


亜織「本当は2〜3か月に1回を推奨してますけどね。」


咲「何回目かのやり取り。」


亜織「またお待ちしてます。」


咲「ありがとうございました。」