すずめの住む街。

「あなたの街にすずめはいますか?」

あたたかさの輪



和華「うちの人もね。」


果久「え!待って!」


和華「なんですか?」


果久「一人暮らしのイメージだった!」


和華「それが違うんですよ。」


果久「へー!いいね!」


和華「それは置いておいて。」


果久「あ、そうだった、何?」


和華「大体笑顔なんですよ。」


果久「あたたかいひとね。」


和華「果久さんが言ってた笑顔が輝いてる人はあたたかいって話。分かるなと思って。」


果久「そして広がるんだよね。そのあたたかい空間が。」


和華「自分までなんというか、あたたかくなるんですよね。」


果久「本人はそんな自覚ないんだけどね。」


和華「そう。もちろん常に、とは言わないんです。機嫌悪い時もあるし。」


果久「テンション高い時とかは見てるこっちが幸せになる感じでしょう?」


和華「そうなんですよ。そういううちの人を見るたびに、そばにいられて幸せだなって。」


果久「そういうのは広げていくべきだよ。」


和華「笑顔ですか?」


果久「笑顔というか...うーん、あたたかさ?」


和華「あたたかさ。」


果久「和華さんも今すごいあたたかいよ。それそれ。」


和華「普段は冷たいって?」


果久「もう。」


和華「合ってるか分からないけれど、あたたかいときは何言っても許される気がする。」


果久「高揚してるんだよ。」


和華「ワクワク?」


果久「ふわふわ?」


和華「ほ、ほわほわ?」


果久「全部ひっくるめての、あたたかさ。広げたいなあ。」


和華「広げたいねえ。」


果久「人はネガティブになることもあるし、怒ることもあるのかもしれないけど、こうしてあたたかくいられるだけで、生きててよかったって思えるじゃない。」


和華「わかります。」


果久「その瞬間が少しでもあるだけで、心が軽くなってさ。」


和華「幸せなんですよね。」


果久「今日くらいは幸せでいていいんだよって。」


和華「そういう時間も大切ですよね。」



咲「幸せってなんだろうね。」


和華「なんだろうね。」


咲「難しいよね。」


和華「難しいね。」


咲「今日は幸せだった?」


和華「うん。楽しかった。」


咲「そっか。」


和華「こうやって後先考えずに心を軽くいられる時間も大切だなって。あたたかい時間ってやつ?」


咲「幸せだね。」


和華「咲は今日は幸せだった?」


咲「難しいね。」


和華「今は?」


咲「ずるい。」


和華「あたたかいなあ。」


咲「暑いよ。」


和華「ずるいな。」


咲「僕は今日も昨日と変わらぬ1日。変わらずちゃんとこうして和華と生きてる。」


和華「暑いなあ。」


咲「暑いよ。」


和華「今日もアイス食べちゃう?」


咲「食べちゃう?」


和華「食べちゃおう。」


咲「あついね。」


和華「あついよ。」